遺産 (いさん)

遺産とは、亡くなった方がご存命中に所有されていた財産その他の有形的・無形的価値のことです。

民法第896条本文・第906条では遺産は被相続人(亡くなった方)に属した一切の権利義務と定められています。すなわち、民法ではプラスの遺産、例えば現金、預貯金、土地、家屋、著作権、受取人が本人の生命保険だけでなく、マイナスの財産、例えば亡くなった方が負っていた借金や住宅ローンも遺産とされているのです。

相続が発生した後、つまりある方が亡くなった後、遺産は相続人により承認または放棄(民法第938条)が行われますが、承認にはさらに単純承認(民法第920条)と限定承認(民法第922条)があります。したがって例えば親御さんが亡くなり借金や住宅ローンがあることが分かり払うことができない場合には、ご自身のために相続の開始があったことを知った時から3ケ月以内に、相続を放棄するか限定承認をする必要があります(民法第915条第1項本文)。

しかし、相続人が数人いるときは「限定承認は、共同相続人の全員が共同してのみ」行うことができます(民法第923条)。限定承認をしようとするときは、自己のために相続の開始があったことを知った時から3ケ月以内に、相続財産の目録を作成して家庭裁判所に提出し、限定承認する旨を申述しなければなりません(民法第925条)。相続放棄をしようとする者は、その旨を家庭裁判所に申述しなければなりません(民法第938条)。

相続人が複数いる場合には、遺産は相続分の規定又は遺産分割の規定(民法第906条~第914条)によって分配されますが、相続分にはさらに法定相続分(民法第900条)と指定相続分(第902条)があります。ただし、墓地、仏壇、死亡退職金、受取人が指定されている生命保険は遺産分割の対象とはなりません(民法第896条但し書き・第897条)。

なお、遺産分割は「遺産に属する物又は権利の種類及び性質、各相続人の年齢、職業、心身の状態及び生活の状況その他一切の事情を考慮して」行わなければなりません(民法第906条) 。そして、遺産分割について「共同相続人間に協議が調わないとき、又は協議をすることができないときは、各共同相続人は、その分割を家庭裁判所に請求することができる」(民法第907条第2項)のです。これに対して、相続人が現れない場合には、特別縁故者に対する相続財産の分与(民法第958条の3)が行われた後で、残りの遺産は国庫に帰属することになります(民法第959条)。