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ご葬儀を喪主側として執り行ったり、参列者として弔問に訪れたりといった経験は誰にでもあることだと思います。
仏式のご葬儀が圧倒的に多い日本ですが、宗派によってご葬儀の流れやマナーは異なります。
この記事では、13ある仏教の宗派のうち、真言宗について、ご葬儀における特徴や流れ、マナーについて解説していきます。
こんにちは、八王子市・日野市・世田谷区で安心のご葬儀・家族葬のお手伝いをする葬儀社、都典礼(みやこてんれい)です。
今日もご葬儀に関する疑問、悩みの解消に役立つ情報をお伝えします。
真言宗は、平安時代の僧侶である空海(弘法大使)によって、平安時代初頭に開かれた日本仏教のひとつです。
804年、空海が31歳の時に留学生として遣唐使に同行する形で唐の長安に渡り、青龍寺の恵果和尚(けいかおしょう)から真言宗の基盤となる密教を学びました。日本に戻った空海は、高野山金剛峰寺を真言宗を開く場所として選び、各地に真言宗の教えを広めていくことになります。
真言宗は、「即身成仏(そくしんじょうぶつ)」を教義としています。
即身成仏とは、この世に生まれた肉体のまま「身・語・意」の三蜜と呼ばれる修行を行うことによって、生きたまま仏になることを意味します。密教は誰にでも布教されるわけではなく、修行を通じてのみ、その教えを説くことができるというのが他の宗派と異なる点といえるでしょう。
本尊は、万物の慈母であり宇宙の中心、真理そのものであるとされる「大日如来(だいにちにょらい)」ですが、様ざまな仏に姿を変えて人々を救うとされている大日如来はイヤリングなどの装飾品を付けているのが、他の如来と大きく違うところです。
即身成仏を目指す真言宗では、死後の世界は身近なものであるため、ご葬儀において他の宗派とは異なる独特の儀式が行われます。
死後の世界は「蜜厳浄土(みつごんじょうど)」と呼ばれ、大日如来の待つ世界へ送り出すために、この世で身についてしまった悪を払い落す儀式を行うのが真言宗のご葬儀となります。
「灌頂(かんじょう)」と「土砂加持(どしゃかじ)」と呼ばれる儀式がそれに当たります。
灌頂とは、亡くなった人の頭頂に水をそそぎ、仏の位を継承させる儀式です。
天台宗の開祖である最澄が高野山の神護寺で行ったのが、日本最初の灌頂であるといわれています。
日本密教で執り行われている灌頂は「結縁灌頂(けちえんかんじょう)」「受明灌頂(じゅみょうかんじょう)」「伝法灌頂(でんぽうかんじょう)」の3種ですが、このうちご葬儀で執り行われるのは、仏様との縁を結ぶ「結縁灌頂」になります。
土砂加持は、水で洗い清めた土砂を護摩(火で焚くこと)と光明真言(23文字の短いお経)を唱えた後に、納棺前の遺体にかける儀式です。
「滅罪生善(めつざいしょうぜん)」と呼ばれるこの行為は、苦悩を取り除く、遺体を柔軟にするといった効果があるとされています。
真言宗のご葬儀の流れは以下の様になります。
1. 僧侶の入場
2. 塗香(ずこう)、三蜜観(さんみつかん)、護身法(ごしんぼう)、 加持香水(かじこうずい)の法
塗香:けがれを取り除くため、故人の体に香を塗ります。
三蜜観:即身成仏させるために「吽(うん)」の字を体で表現し、口で唱え、心で念じます。
護身法:5種類の印を結ぶことで心身を整えます。
加持香水:祈りによって浄化した水(香水)を故人にかけます。
3. 三礼(さんらい)、表白(ひょうびゃく)、神分(じんぶん)
三礼:三礼文(周礼・儀礼・礼記)を唱え、仏法僧に帰依します。
表白:大日如来に祈りをささげます。
神分:大日如来、阿弥陀如来などが降臨されたことに感謝の祈りをささげます。
4. 声明(しょうみょう)
仏典に節をつけた音楽が流れます。
5. 授戒作法
僧侶がお経を唱えながら故人の髪の毛を剃る、あるいは剃るふりをします。その後、三帰 三竟(さんきさんきょう)や十善戒が授けられ、戒名がつけられます。
6. 引導の作法
もう一度表白、神分を行い、灌頂を経て弥勒三種の印明を授けることで故人を即身成仏へ導きます。
7. 破地獄の作法
故人が地獄の苦しみを味わうことのない様、お祈りします。
8. 焼香~出棺
僧侶が諷誦文(ふじゅもん)を唱えている間に焼香を行います。その後、導師最極秘印といわれる弘法大師から繋がる印を結び、指を3回鳴らすと出棺となります。
真言宗のご葬儀に参列する際のマナーについて説明していきます。
お香典については、他の宗派と同様、喪主や故人との関係によって包む金額は変わってきます。
友人・知人であれば5,000~1万円、3親等以外の親族なら1万~5万円、3親等以内の親族であれば5万~10万円が相場といえるでしょう。
表書きは「御霊前」とするのが一般的です。「御香典」も各宗派に使えますので問題ありません。
「御仏前」は仏になる前のご葬儀の場では使わないようにし、四十九日以降に用いるようにしましょう。
真言宗のお焼香は3回行います。
中指・人差指・親指でお香をつまみ、額に押しいただいてから香炉にくべます。
3回行う理由については諸説ありますが、「大日如来、空海、先祖に向ける」「仏、法、僧の三宝にささげる」「身口意(行動、言葉、気持ち)を浄める」などが挙げられます。
参列者の数などによって「お焼香は1回で」と案内される場合は、指示に従うようにしましょう。
真言宗の正式な数珠は「振分数珠」と呼ばれる、主玉108個からなる二重タイプで、親玉から7つ目と、21個目に四天玉があります。
合掌の際は、数珠を両手の中指にかけ、房を手の甲に乗せた状態で両手を合わせます。
真言宗では、数珠をすり鳴らして音をたてます。
これは昔、鳥羽僧正が修法の終わりを知らせる合図として音を立てたことが始まりと言われています。108個の主玉をこすり合わせ鳴らすことで、108の煩悩を砕くという意味があります。
真言宗のご葬儀は、他の宗派と違った流れの中で行われる、仏式の中でも特色の強いご葬儀であるといえます。
「灌頂」や「土砂加持」などの儀式の意味合いを理解した上でご葬儀に参列することで、より気持ちを込めて故人を送り出してあげましょう。