緩和ケアとは?受け方やターミナルケアとの違いについて解説

こんにちは、八王子市・日野市・世田谷区で安心のご葬儀・家族葬のお手伝いをする葬儀社、都典礼(みやこてんれい)です。
今日もご葬儀に関する疑問、悩みの解消に役立つ情報をお伝えします

がんと診断されると、治療と同時に「緩和ケア」が始まるのをご存じでしょうか?
身体と心の苦痛を和らげる事を目的として始められる緩和ケアですが、漠然としたイメージしか持っていない人も多いと思います。
この記事では、緩和ケアについて少しでも理解が深まるよう解説します。

目次

緩和ケアとは

緩和ケアは、生命を脅かす重い病気と診断された患者とその家族に対して行われます。
病気の症状であったり治療による痛みや倦怠感などの身体的苦痛に加え、死に対する悲しみ、恐怖、社会生活への不安やといった精神的苦痛も含めた、身体と心の苦痛を和らげる事を目的として行われるものです。


WHOによる緩和ケアの定義は以下のように解釈されています。
 緩和ケアは、生命を脅かす疾患による問題に直面する患者とその家族に対して、痛みやその他の身体的、精神的、社会的な問題、さらにスピリチュアル(宗教的、哲学的なこころや精神、霊魂、魂)な問題を早期に発見し、的確な評価と処置を行うことによって、 苦痛を予防したり和らげることで、QOL(人生の質、生活の質)を改善する行為である


さらに具体的に、
 ・痛みや、その他の苦痛となる症状を緩和する
 ・生命を重んじ、自然な流れの中での死を尊重する
 ・死を早めることも、いたずらに遅らせることもしない
 ・死が訪れるまで、患者が自分らしく生きていけるように支える
 ・患者の治療時から、患者と死別した後も、家族を支える
 ・患者や家族に、心のカウンセリングを含めたさまざまなケアをチームで行う
 ・生活の質を向上させ、前向きに生きるちからを支える
 ・がん治療の初期段階から、外科手術、化学療法、放射線療法などと連携しながら、緩和ケアを行う
と記されています。

緩和ケアの対象となる疾患

現在の日本では、がん以外の疾患に対してはほとんど緩和ケアは行われていません。アメリカでは疾患の種類に関係なく「余命6カ月以内と診断された患者」を対象に緩和ケアが行われるのに対して、日本では「末期の悪性腫瘍または後天性免疫不全症候群(エイズ)に罹患した患者」に限定されています。
理由として、緩和ケア病棟や専門医といった施設、人員両方の数が不足している事が挙げられます。がん患者だけでも十分なケアが行われているとはいい難いのです。加えて、アメリカでは緩和ケアは公的医療保険の対象外ですが、日本では保証対象となっており、国が抱える財政問題によって疾患が限定されているという側面もあるようです。

ターミナルケアとの違い

緩和ケアと同じように使われる言葉が「ターミナルケア」です。終点、終着駅を意味する「ターミナル」が示すように、終末期を迎えた患者に対して行われるのがターミナルケアです。
緩和ケアが患者の身体的、精神的苦痛を和らげる事を目的とするのに対し、ターミナルケアは延命治療を止め、人間らしく最後を迎えられるようサポートする事を目的としています。
両者の違いは、「対象者」と「開始時期」においても明確に表れています。


緩和ケアはがん患者を対象としていますが、ターミナルケアは疾患の種類を問いません。また、老衰や認知症などにより寝たきりとなった人に対して行われる事もあります。
いつからケアを開始するのかという点においては、緩和ケアはがんと診断された瞬間から治療と同時に始められ、終末期までケアを受ける事が可能です。一方、ターミナルケアは回復の見込みがなく、積極的な治療が行えなくなった時点で開始される事になります。

緩和ケアの受け方

緩和ケアを受ける場合、がん診療連携拠点病院であればどこの病院でも受ける事が可能です。その場合、「外来」と「入院」のどちらでも受ける事ができます。また、病院以外で「在宅」で受ける事も選択肢のひとつです。それぞれについて説明していきます。

外来による緩和ケア

がん治療のために通院している病院で、主治医や看護師から基本的な緩和ケアを受ける事ができます。加えて、専門のスタッフからなる「緩和ケア外来」が設置されている事もあり、より内容の濃いケアを受ける事も可能です。また、がん診療連携拠点病院整備指針により、がん診療連携拠点病院では緩和ケア外来の設置が義務づけられており、すべての患者は緩和ケア外来もしくは緩和ケアチームによる外来診療を受診できます。
しかしながら、緩和ケア外来の設置が思うように進んでいない病院もあります。緩和ケア外来が設置されていない、設置されていても毎日開いていないといった状況であるなら、他の病院の緩和ケア外来を受診する事も可能です。主治医からの紹介状が必要となりますので、病院に問い合わせてみましょう。


メリットとしては、
・経済的負担を抑える事ができる
・自宅で生活できるため精神的に落ち着きを得る
・家族が患者の様子を身近で見守る事ができる
デメリットとして、
・急な症状の悪化に対して迅速に対応する事ができない
・食生活の管理を自分たちで行う
・通院の負担
といった点が挙げられます。

入院による緩和ケア

一般病棟の場合
がん治療で一般病棟に入院した場合、主治医や看護師によって治療を行うのと同時に鎮痛剤などによる痛みの緩和や、心の不安を取り除くためのケアが始められます。必要に応じて専門的なトレーニングを受けた緩和ケアチームが対応する事もあります。がん診療連携拠点病院では、緩和ケアチームの設置が義務づけられています。


緩和ケア病棟の場合
緩和ケア病棟では、抗がん剤治療などの積極的治療が行われる事はなく、終末期を穏やかに過ごすために心身のつらさを和らげる事を目的としたケアを受ける事ができます。できるだけ日常生活に近い暮らしができるよう、個室となっている事が多く、キッチンや談話室などがあるほか、家族の宿泊にも対応している病棟もあります。季節ごとの行事を行ったりレクリエーションを楽しんだりするのも緩和ケア病棟の特色といえるでしょう。
メリットは、緩和ケアチームによる24時間ケアが受けられる事や、面会や持ち込みの制限が少なく自由度が高い事が挙げられます。
一方、がん患者の増加に伴い緩和ケア病棟の数が十分でないといった問題や、診療報酬制度の改正によって長期の入院を断られるケースが出ているといった問題が発生しています。

在宅による緩和ケア

「最後は病室でなく自宅で」と考える患者も少なくありません。その場合、在宅緩和ケアを受ける事になります。
在宅での緩和ケアに対応するのは、主治医や看護師ではなく診療所や訪問看護ステーション、訪問介護事業所などが連携してこれにあたります。
主治医に相談する事で、訪問診療のための紹介状が作成してもらえます。その後、病院職員が訪問診療医や訪問看護ステーションに連絡し調整する流れとなっています。
メリットは何といっても住み慣れた場所で生活ができ、面会などの制限も受けないため充実した時間を過ごせる事でしょう。
デメリットとしては、家族に介護の負担が大きくのしかかる点です。

まとめ

緩和ケアは患者とその家族に対して、身体的および精神的苦痛を和らげるために行われ、がんと診断された時から受ける事ができます。
緩和ケアには外来・入院・在宅といった選択肢がありますので、病状の進行具合や患者の生活環境などを考慮し、主治医としっかりと相談したうえで患者や家族にとって最善の方法を決めるのが良いと思います。

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