エンバーミングとは?意味や内容を解説

こんにちは、八王子市・日野市・世田谷区で安心のご葬儀・家族葬のお手伝いをする葬儀社、都典礼(みやこてんれい)です。
今日もご葬儀に関する疑問、悩みの解消に役立つ情報をお伝えします。

「エンバーミング」という言葉を聞いたことがありませんか?
ご葬儀の打ち合わせで聞いたり、勧められた方もいるかもしれません。
日本語では「遺体衛生保全」と訳され、消毒、殺菌や保存処理、また必要に応じて修復することで、ご遺体の長期保存を可能にする方法のことです。

火葬がメインの日本では、なじみのない方法ですが、土葬が主流の国では一般的な方法です。
しかし近年では、様々な理由からエンバーミングを選択される方が増えています。
今回はエンバーミングについて述べていきます。

目次

エンバーミングとは

エンバーミングは、ご遺体を衛生的に安全に保全して、ご遺族が精神的・時間的に安心してお別れできることを目的として行います。
ご遺体の外見を整えたり、腐敗の進行を防ぐために、ご遺体を消毒して、血液を防腐剤と入れ替え、体液の吸引、外見の修復を行います。

日本でのエンバーミングは、IFSA(一般社団法人 日本遺体衛生保全協会)の認定を受けたエンバーマーが行います。
本人または、ご遺族の同意による署名が絶対に必要です。
日本ではエンバーミングに関する法令はありません。
しかしIFSAには厳格な基準があり、節度を持って適切に処置するよう定めています。
そのため刑法190条の死体損壊罪、その他の法律に抵触しません。

エンバーミングの流れ

エンバーミングは次のような流れで行われます。

1 ご葬儀社にエンバーミング依頼書と死亡診断書のコピーを提出する。
2 ご遺体をエンバーミングをする施設に搬送する。
3 ご遺体の着衣を取り、全身を洗浄、消毒、殺菌する。希望に合わせてヒゲそり、顔そりを行う。
4 鼻腔と口腔を洗浄し、目と口を閉じる。必要に応じて、含み綿などで表情を整える。
4 切開して動脈から防腐剤を注入して、静脈より血液を排出する。
5 腹部に穴を開けて胸腔・腹腔部に残った体液や、消化器官内の残存物を吸引し除去する。同時に防腐剤を注入する。
6 切開や開腹した部分を、縫合と修復して、再度全身を洗浄する。
7 ご遺族が用意したり、要望する衣装に着せ替えて、頭髪を整える。
8 打合せで決めた通りの化粧をして、ご遺体を棺に納める。
9 エンバーミング施設から、ご葬儀式場や自宅に搬送する。

エンバーミングのメリットと必要な場合

ご葬儀までに日数がかかる

エンバーミングのメリットの1つは、ご遺体を長期間にわたり保全・保存できることです。
日本では、火葬を前提にしているので50日以内をエンバーミングの有効期間としています。
亡くなった時点から腐敗が始まります。ある程度の日数までは、ドライアイスや保冷庫で対応できます。ドライアイスは毎日の交換が必要で、保冷庫を持たない施設もあります。
年末・年始などで火葬場の予約が困難な場合、ご遺族が旅行や仕事で参列するのに日数がかかる場合には、エンバーミングが利用されます。

エンバーミングを施すことで、大抵の場合はドライアイスが不要になります。ドライアイスを交換する手間と費用が省け、自宅などの希望の場所で一緒に過ごすことも可能になります。

最近ではご遺族がコロナウイルスに感染して、隔離期間の解除までに日数がかかり、エンバーミングを利用する方が増えました。

ご遺体の搬送を空輸で行う

航空機を利用してご遺体を搬送する場合、利用する航空機によってドライアイスの量が制限されたり、ドライアイスそのものを搬送できません。

海外で亡くなったり、海外に搬送する場合には、エンバーミングが必要条件とされています。

元気だった頃の姿で見送りたい

エンバーミングは保存・保全だけでなく、修復も可能です。心臓に埋め込まれたペースメーカーの除去も可能です。
長い療養期間で顔がやせ細った。点滴や薬で顔がむくんで顔がむくんで、見た目が変わった。事故などで顔に傷がある。
参列される方がイメージされる姿と、かけ離れてしまう場面は多くあります。

2020年にIFSAが参列経験のある方に行った調査では、直近で参列したご葬儀について「故人の顔と生前の顔を比べて、表情や顔つきに違いを感じましたか?」と聞くと、実に7割近く(66%)が「感じた」と答えています。
エンバーミングの処置や修復によって、イメージに近づけることが可能になります。

薬剤を利用するので、自然な顔色や肌色に近づけることも可能です。

異臭や感染症を防ぐことができる

エンバーミングによって、体液や消化器官の残存物を除去します。腹水などが口や鼻から漏れる心配がなくなり、異臭を抑えることができます。

消毒、殺菌するので、故人様が感染症にかかっていた場合も、ご遺族や参列者などへ感染を防ぐ効果もあります。

空気感染による結核など
飛沫感染によるインフルエンザなど
接触感染によるB型肝炎、C型肝炎、HIV、MRSAなど
感染の予防に効果があります。
そのため、ご遺族や参列される方が、故人様の手や顔に触れてお別れすることができます。

エンバーミングのデメリット

ご遺体を傷つける

エンバーミングは血液を排出したり、体液や消化器官の残存物を除去するために、切開します。ご遺体に傷をつけることになるので、心理的な抵抗を持つ方もいらっしゃいます。
喪主の独断でなく、近い親族の同意が必要な場合もあります。

日にちがかかる

エンバーミングは自宅では行えません。専門の施設にお連れして、エンバーマーが適切な処置を施します。処置が済んだら、指定の場所にお連れします。

そのために、故人と会えない時間が生じます。最近ではエンバーミング専用の車輌もありますが、台数がまだまだ足りていません。

近隣にエンバーミングできる施設がない場合は、さらに搬送の時間がかかることになります。

費用が掛かる

エンバーミングは、IFSAによって価格が15万円から25万円と定められています。ご遺体の状況によっても異なります。
同意書にサインする前に、きちんとエンバーミングの費用を確認しましょう。

注意すること

エンバーミングは万能ではない

エンバーミングは腐敗を抑えることは可能です。
しかし、一定以上に腐敗が進行した場合は、エンバーミングを施すことができません。判断はエンバーマーでないと難しいです。

ご遺体の状況によっては、エンバーミングを断られることもあります。

エンゼルケアではない

「エンゼルケア」とは、病院や療養施設で亡くなった場所などで、看護師や施設職員、ときにはご葬儀社が行います。
体や顔をふいたり、着せ替え、髪型を整え、点滴の跡を手当てして、口や鼻から体液が漏れる場合は、詰め物で対応します。

あくまでも外見を整える処置で、ご遺族でも意志があればできます。
エンバーミングは専門の場所・知識・技術が必要で、全く異なります。

まとめ

早ければ臨終から火葬まで2日間で済む日本では、エンバーミングはなじみのない方法でした。しかしライフスタイルや考え方の多様化で、エンバーミングを選択される方は増えています。
元気だった頃のお姿で、お別れをしっかりとするには、エンバーミングは有効な選択肢です。
どのように故人様と接するのか?どのようなご葬儀をしたいのか?
メリット、デメリットをきちんと確認して、後悔のない選択をしてください。

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